【聖地は今?】ウェアハウスの栄枯盛衰… ウェアハウス「メダル激安」戦略の光と影:なぜ聖地は苦境に陥ったのか

メダルゲーム愛好家、そしてコアなゲーマーならば、「ウェアハウス」という名前と、あの独特な雰囲気を忘れることはできないでしょう。特に、神奈川県川崎市にあった「ウェアハウス川崎 電脳九龍城」の存在感は圧倒的でした。

しかし、その輝かしい時代は終わりを告げ、多くのファンに惜しまれつつ閉店しました。なぜ「聖地」は消えなければならなかったのか?この記事では、ウェアハウスの栄光と衰退、そしてその歴史的背景に迫ります。

1.始まりはレンタルビデオ屋:ウェアハウスの歴史

ウェアハウスの歴史は、意外にもゲームセンターではありませんでした。元々はレンタルビデオや書籍、CDなどを扱うメディア事業からスタートしています。

その後、事業を多角化する中でアミューズメント事業(ゲームセンター運営)に進出し、「大人の社交場」をコンセプトにした独特な雰囲気の店舗を展開し、多くのゲーマーの心を掴んでいきました。

2.栄光の時代:「大人のゲーセン」そして「徹底した低価格戦略」

アミューズメント事業に進出したウェアハウスは、一般的なゲームセンターとは一線を画すコンセプトで差別化を図りました。

唯一無二の内装:
特に「ウェアハウス川崎」は、香港の伝説的なスラム街「九龍城砦」を完璧に再現した内装で、国内外から注目を集めました。その徹底した世界観は、ゲームをするだけでなく、空間そのものを体験するアトラクションのようでした。

コアゲーマーの受け皿:
レトロゲームやマニアックなメダルゲーム機が多く設置され、「本気のゲーマー」たちの聖地となりました。

「メダル激安」戦略:
他の大手チェーン店が1000円で100枚〜150枚程度の貸し出しだった時代に、ウェアハウスは安いところでは1000円で500枚、3か9がつくサンキューデーは貸出2倍という破格の安さを打ち出しました。

これは、ゲームセンターの利用者を増やすための強力な集客ツールでした。安価で長時間遊べることで、多くのコアゲーマーや学生層を一気に惹きつけ、「メダルの聖地」としての地位を確立しました。

3.ゲオによる買収、そして時代の変化

ゲオの傘下へ:
2010年、レンタルビデオ大手である株式会社ゲオホールディングス(現ゲオ)が、ウェアハウスに対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、子会社化しました。 その後2013年には完全子会社化しています。 これは、ゲオグループがメディア事業やアミューズメント事業での相乗効果を見込んだ経営戦略の一環でした。

ウェアハウスの経営は、時代の波に翻弄されます。

市場の変化と閉店:
しかし、スマートフォンゲームの台頭などにより、ゲームセンター業界全体は厳しい状況に直面します。運営コストの高さも相まって、象徴的な「ウェアハウス川崎」は2019年に閉店しました。公式な理由は「賃貸借契約期間満了のため」とされていますが、背景には業界全体の難しさがあります。

4 「エラーハウス」という揶揄と閉店の背景

ウェアハウスの店舗、特に古い機種が多い店舗では、メダルゲーマーの間で「エラーハウス」という揶揄(やゆ)が存在しました。

これは、古い機種特有のメダル詰まりや機械の故障(エラー)が頻繁に発生し、店員を呼ぶ回数が多かったことに起因します。ファンは古い機種で遊べることに感謝しつつも、プレイ中に頻繁に中断されるストレスを感じていました。店側も丁寧なメンテナンスを心がけていましたが、物理的な限界があったと考えられます。

低利益体質:
メダルの貸出単価が安いため、回収率を高く設定せざるを得ず、プレイヤーは「設定が渋い(きつい)」と感じることが多くなりました。また、売上自体も伸び悩みました。

経営の苦境:
低単価での運営は、運営コスト(家賃、人件費、メンテナンス費)を圧迫しました。2010年のゲオによる買収、そして象徴的な川崎店の閉店など、その後の経営難は、この激安戦略と無縁ではないでしょう。

5.残された魂と業界の今

ウェアハウスが残した「大人が本気で遊べる場所」というコンセプトは、他の店舗で今もなお健在です。

まとめ:記憶に残る「聖地」として

ウェアハウスは、その歴史の中で形を変えながらも、独自の文化を築き上げました。岩槻や三橋といった他の名店の苦境を見ても分かる通り、ゲーセン業界は厳しい状況にありますが、情熱を持った店舗やプレイヤーの存在は消えていません。形は変わっても、そこで生まれた熱狂や思い出は、多くのゲーマーの心に深く刻まれています。

あなたの思い出に残るウェアハウスの店舗はどこですか?もしよろしければ、コメント欄であなたのウェアハウスでの思い出や、今行っている「メダルの聖地」をぜひ教えてください。

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です